2015.08.28
2015年8月28日
一般財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
食品安全サポート部 専門係長 大林 英雄
食品の表示は、食品衛生法、JAS法(旧農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)及び健康増進法により、とても複雑で分かりにくいものになっていました。
このたび、3法の食品表示に係る規定を一元化し、消費者、事業者双方にとって分かりやすい制度を目指した「食品表示法」が平成27年4月1日から施行されました。
法令 | 食品衛生法 | JAS法 | 健康増進法 |
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目的 | 飲食に起因する衛生上の危害発生を防止 |
・農林物資の品質の改善 ・品質に関する適正な表示により消費者の選択に資する |
・栄養の改善その他の国民の健康の増進を図る |
表示関係 | 販売の用に供する食品等に関する表示についての基準の策定及び当該基準の遵守 等 |
・製造業者が守るべき表示基準の策定 ・品質に関する表示の基準の遵守 等 |
・栄養表示基準の策定及び当該基準の遵守 等 |
表示関係以外 |
・食品、添加物、容器包装等の規格基準の策定 ・規格基準に適合しない食品等の販売禁止 ・都道府県知事による営業の許可 等 |
・日本農林規格の制定 ・日本農林規格による格付 等 |
・基本方針の策定 ・国民健康・栄養調査の実施 ・受動喫煙の防止 ・特別用途食品に係る許可 等 |
大きな変更点のうち、特に栄養成分表示についての変更があげられます。
これまで表示義務がなく、事業者が任意で行っていた栄養成分表示が義務化されました。
※一部除外あり。原則として消費者向けの予め包装された加工食品及び添加物に栄養成分表示を義務付けますが、消費税法第9条第1項において消費税を納める義務が免除されている事業者は、栄養成分表示の省略が認められます。また、当分の間、小規模事業者(概ね従業員が20人以下。商業、サービス業は5人以下)についても、栄養成分表示の省略が認められます。
また、機能性表示食品制度の新設をはじめ、様々なルールの変更・改善がされました。
経過措置期間中は、旧基準による表示も認められますが、旧基準と新基準の表示方法が混在された表示は原則認められません。
食品区分 | 旧基準の表示方法が認められる期間 |
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加工食品 (一般用・業務用) |
平成32年3月31日までに ・一般用は、製造(又は加工・輸入)されるもの。 ・業務用は、販売されるもの。 |
添加物 (一般用・業務用) |
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生鮮食品 (一般用) |
平成28年9月30日までに販売されるもの。 ※業務用生鮮食品については、経過措置期間はなく、平成27年4月1日から新基準に基づく表示が必要となる。 |
この新たな食品表示法が、日々の生活においてより良い情報・商品の選択に役立ち、消費者、事業者の双方にとって有益になることを期待します。
参考文献