冬のダニ対策とダニ試験法

2021.07.15

財団法人 東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
環境衛生検査部 部長 瀬戸 博
 

冬こそダニ対策を

ダニは、フケやカビなどを餌としており、適度な湿り気と温度があれば繁殖しますので、たいていどの家にも生息しています。以前は、主に夏季に発生し ていましたが、最近では住宅の気密性、断熱性が向上している上に、加湿器の普及などのため、通年で発生するようになっています。冬は、気温が低下し、空気 が乾燥しています。餌になるカビなどの繁殖も抑えられています。ダニにとって、本来、生活しにくい冬の季節に、適切な対策をとることにより、夏季のダニの 発生を抑制することができます。

ダニの種類と健康被害

一口にダニといっても、たくさんの種類があります。家の中にいるダニの大部分は、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニというチリダニです。数は少な いのですが、チリダニやコナダニを刺して体液を吸うツメダニがいます。ダニによる主な健康被害は、チリダニが惹き起こすアレルギー(気管支ぜん息)の他、 ツメダニなどによるアレルギー(刺された部分が赤く腫れ上がり、痒い)があります。

効果的なダニ対策とは

ダニ対策の目的は、ダニの数を増やさないこととアレルギーの元となる虫体と糞(ふん)を減らすことです。ターゲットは、健康への影響が大きく、数も多いチリダニです。ポイントは、「餌」、「湿度」、「居場所」の3つを対策することです。

チリダニは、人やペットのフケ・垢(あか)、カビなどを食べていますから、掃除機を使い、これらをまめに除去することが大切です。床だけでなく、布団などの寝具、布製のソファやぬいぐるみも忘れずに掃除します。掃除機は虫体と糞(ふん)の除去にも有効です。

次に湿度対策をします。晴れた日は、窓を開放して家の中に新鮮な空気を取り入れて乾燥するようにします。夜も結露させないよう適度な室温に保ちつつ、換気装置を作動させて湿度を下げます。チリダニの孵化直後の幼虫は、湿度が50%程度で死滅すると言われていますので、湿度を低く保つことが有効です。

最後は、居場所対策です。布団、毛布、カーペットは良く日に干す、掃除機を当てる、業者に丸洗いを依頼するなどの対策が有効です。特に、丸洗いは虫 体と糞(ふん)を洗い流すので効果的です。また、合繊高密度織物でできた布団カバーに交換すると舞い上がるダニアレルゲン量を軽減することができます。畳 もカーペットを上に敷くとダニの温床となりますから、日に干すか、ワラ床を使った畳では業者による熱乾燥をするのがよいでしょう。

ダニを調べるには

家の中のダニをゼロにすることは難しいのですが、何匹くらいまでなら許されるものでしょうか?「学校環境衛生の基準」では、「ダニ数は1平方メート ルあたり100匹以下、またはこれと同等のアレルゲン量以下であること」とされています。ダニの種類や数を調べるには、掃除機で家の中の塵やホコリを集め て、専門家により顕微鏡で計数することが必要です。

一方、ダニアレルゲンは、塵・ホコリからアレルゲンを抽出し、酵素免疫測定法(ELISA法)で測定します。

当科学センターでは、お客様からお預かりした試料(塵・ホコリ)の「学校環境衛生の基準」に基づくダニアレルゲン測定(簡易法及びELISA法)に対応しています。

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