日本食品微生物学会の開催する30周年記念学術総会において、当財団理事 伊藤武による記念講演とランチョンセミナー、当財団調査研究室 森哲也による講演が行われました。
当財団は、平成元年4月より本学会事務局機能を担い、食品の安全や品質管理に関わる方々、微生物検査や研究者の方々の情報交換と研究の一層の発展をはかっております。
平成21年10月20日(火)、タワーホール船堀(東京・江戸川区)において、日本食品微生物学会開催30周年記念学術総会において、当財団理事伊藤武による記念講演が行われました。
「30周年記念講演」のテーマは、「食品微生物学の過去,現在,未来」。小崎俊司氏(大阪府立大学)の司会により、「日本食品微生物学会の発足・発展の経緯」寺山 武(名誉会員)、「コレラ菌研究30年」竹田美文(名誉会員)、「食品由来感染症の今昔」仲西寿男(名誉会員)の講演が次々に行われました。
記念講演のラストを飾った「微生物検査法の変遷と展望」伊藤 武(名誉会員)による講演は、要旨をご覧ください。会場には、300名を超える参加者が詰めかけ、食品微生物検査の変遷、問題点と今後の展望について熱心に耳を傾けていました。
微生物検査法の歴史を振り返り、東京顕微鏡院の初代院長を務めながら東京市衛生試験所(現 東京都健康安全研究センター)の初代所長を兼任した遠山椿吉博士を紹介。
2009年10月20日(火)12時、タワーホール船堀(東京・江戸川区)において、日本食品微生物学会30周年学術総会・ランチョンセミナー「食品関係従事者の腸管系病原微生物検査の意義と検査方法」と題して、(財)東京顕微鏡院 食と環境の科学センターの伊藤武理事が講演を行いました。
昨今、報道を賑わせている腸管系病原微生物による事件。改めて今、そうした事故を未然に防ぐ、食品関係従事者の検査の意義と必要性、正しい検査法について注意を喚起する啓発的な内容に、126名 (主催者調べ)が熱心に聴講しました。
続く、ランチョンセミナー『食品関係従事者の腸管系病原微生物検査の意義と検査方法』には、およそ130名の参加者が聴講し、質疑応答も活発でした。
冒頭、なぜ食品従事者に、食品媒介微生物検査が必要なのか、と、問いかけた伊藤理事は、(1)食中毒発生のリスク低減対策の事例として1966年から2006年に至る赤痢菌検出状況を示し、食品従事者の腸管系病原微生物検査(赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌O157その他)の必要性に言及。(2)安全性の高い食品の製造/加工、調理には、「大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省 平成9年通知、最終改正平成20年)」の趣旨を踏まえた衛生管理の徹底が重要であることを訴えました。
さらに、(3)HACCPシステムによる衛生管理を促し、従事者の衛生管理意識の向上と持続を呼びかけ、また、「食の安全を確保するための微生物検査協議会」の活動を紹介し、将来にわたって食中毒や感染症の広域発生や発見に貢献するには、(4)検査データを活用し、精度管理に努めることが重要と指摘しました。
更に、適正な検査方法について、赤痢菌およびサルモネラ属菌などの検査事例を具体的に示しながら、精度管理上のポイント、精度管理を無視した試験法の事例を紹介し、聴講者の注意を喚起しました。
最後に、伊藤理事は、マハトマ・ガンディの言葉「7つの大罪~2.道徳なき商業」を引用し、食品の偽装や、精度を無視した検査による経営リスクにふれ、「何のための検査か、という本来目的を忘れず、食品検査会社の使命を果たすことが重要」と、講演を締めくくりました。
来場者からは活発な質問が寄せられ、改めて検査の意義を確認する機会となりました。
平成21年10月19日(月)~21日(水)
タワーホール船堀
(〒134-0091 東京都江戸川区船堀4-1-1)
日時 : 10月20日(火:第2日目) 9:30~12:00 A会場(5階 大ホール) 司会 : 小崎 俊司(大阪府立大学)
日時 : 10月20日(火:第2日目) 12:00~13:00 C会場(2階イベントホール) 講演 : 伊藤 武 先生(財団法人 東京顕微鏡院 理事)
日時 : 10月19日(月)15:00~10月21日(水)12:00 講演 : 1階 展示ホール
日時 : 10月21日(水)9:15~10:15 講演 : 森哲也※1,田中廣行※2,和田真太郎※1,伊藤武※1,宇田川藤江※2,工藤由起子※3
※1:財団法人東京顕微鏡院、※2:日本食品分析センター、※3:国立医薬品食品衛生研究所