家庭におけるノロウイルス感染対策

2022.01.19

2022年1月19日
一般財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
営業二部 担当課長 真方 規行

ノロウイルス食中毒の発生の多くは飲食業や旅館業および学校などですが、家庭内での感染も報告されています

ノロウイルスは、主に嘔吐および下痢を引き起こす感染性の高いウイルスです。主に10月から3月に流行期となり、近年では夏場においても食中毒事故および感染例が確認されています。

症状としては感染から約1~3日程度潜伏した後、1~2日程度の有症期間があります。また、感染していても発症せずにウイルスをふん便中に排出する場合もありますので、日常の手洗いとうがいが感染予防として重要です。

感染経路はノロウイルスに汚染された水や食品を食べることや、感染者の嘔吐物やふん便によって汚染された衣類等を適切に管理・消毒しなかったために感染する場合があります。そこで、ここでは家庭内における感染対策について取り上げます。

1. 手洗いの徹底

ノロウイルスは、インフルエンザウイルスのように有効な予防薬がありません。いかに体内にウイルスを入れないようにするかが重要となります。ウイルスは非常に小さく、目で確認することはできないために、どこに付着しているかわかりません。帰宅後は家庭内感染を防ぐためになるべくさわる場所を少なくし、すぐに手洗いとうがいをしましょう。 また、外出先でも人の多く集まる場所や嘔吐物がある場合にはできるだけ近づかないようにしましょう。

2. 吐物の処理

家庭内で誰かが感染してしまった場合の介護は細心の注意が必要です。感染者が嘔吐した場合は、直接嘔吐物に触れずに使い捨てビニール手袋とマスクを使用し、ビニール袋にまとめ捨てます。その際、介護者の衣類も着替えることが望ましいです。

また、嘔吐物を拭き終わった場所を次亜塩素酸等(台所用ハイタ―等)で消毒します。カーペットや絨毯は変色する可能性があるので、スチームアイロンにより殺菌しましょう。感染者がさわった手すり、ドアノブ、床、廊下、玩具や筆記用具も感染経路となることがありますので消毒しましょう。

※次亜塩素酸を使用する場合は、濃度に注意し、こまめに換気をしましょう。

3. 食品からの感染予防・・・生カキは十分に加熱

数年前は、カキ等の二枚貝が主なノロウイルスの感染源となっていましたが、近年では二枚貝による食中毒は少なくなっています。しかし、少なからず二枚貝はウイルスを保有している場合があるので、生カキ等の喫食はできるだけ避け、中心温度が85℃、1分以上の十分な加熱調理を行います。その際、調理過程で使用したまな板や包丁、手指からの二次感染にも注意し、別の食材を調理する前に必ず消毒を行います。調理器具を食材毎に分けて使用することも効果的です。

4. 免疫力の向上

日ごろからしっかりと健康管理を行い、ストレスをため込まないことでウイルス等の感染症に負けない体づくりを心がけましょう。腸管の免疫力を高めるためには、ラクトフェリンや乳酸菌飲料が有効であるとする報告もあります。

まとめ

感染対策および拡大防止として、やはり手洗いとうがいが一番の予防対策です。手洗いは石鹸を使い1分以上かけて行うようにしましょう。手洗い後に消毒を行えばより安心です。万が一感染してしまった場合には、家族にうつさないように、嘔吐物の処理やトイレおよび接触箇所の消毒に注意します。うがい用のコップや手を拭くタオルも共有ではなく、専用のものを用意しましょう。また、下痢や嘔吐が激しい場合には脱水症状に注意し水分をこまめに取り、乳幼児やお年寄りの場合は特に嘔吐物の誤飲に注意しましょう。

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