2016.08.03
2016年8月3日
一般財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
食品安全サポート部 小野 瑞樹
食品安全マネジメント協会(以下協会)が発足した背景として、食料産業のグローバル化によるGFSI(世界食品安全イニシアチブ)承認企画の認証を求める国内外の企業が増加しており、食品安全の確保や監査の効率化を目指して世界での標準化の動きが顕著となったことがあげられます。このことにより、日本発の食品安全マネジメントに関する規格・認証スキームが求められています。
主要国では、HACCP義務化が進展していますが、国内のHACCP導入率は、大企業では全体の8割、中小企業では全体の3割に留っているため、HACCP導入率の拡大には、国内で統一的に評価できるものが必要だと考えられました。
協会は、規格・認証スキーム(仕組み)を構築、国際的なルールメイキングへの参加等をすることにより、食料産業が、国際的に通用する認証を受けやすくし、国内の食料産業全体の安全対策を向上させると共に、世界から正当な評価を得ていくための環境を整備し、国際的な食品に関する標準化に主体的に参画することが可能となります。
この規格・認証スキームを構築する意義は、中小企業事業者等が段階的にプログラムを実施することにより、食品安全などの対応の水準を底上げすることができます。
また、スキーム保持自体、作成プロセスを経験することが、日本の食料産業に対する海外からの評判を高め、将来にわたる国際競争力の維持・向上が見込まれると考えられます。
認証スキームの内容として、A、B、Cと規格が3段階に分かれています。
認証スキームを信頼性のあるものにするためには、審査員の力量を一定レベルに保持する仕組みを構築し、審査のバラツキを最小限にしなければなりません。また、審査員の力量について一定レベルを維持し、審査員同士の目線合せ等を行うことも必要になります。
食品事業者における食品安全やお客様からの信頼性確保のために、規格・認証スキームを有効的なツールとして、人材育成への取り組みを向上させていくことが重要です。
経営者は、食品安全等に取組む意義や、メリットの認識により、食品事業者の内部監査担当者の育成、国際標準策定に参画する人材の育成なども業界全体で取り組めるようにすることも重要な点と考えられます。
今まで中小企業事業者が、国際認証を受けるには言語の違いや、コスト、内容の理解度に問題がありましたが、日本発の認証スキームにより国際認証の取得が拡大すると思われます。そして、認証の取得後も、国際的な情勢を鑑みながら、スピード感を持った対応と、日々の地道な取り組みを継続させることが大切です。