塩素系薬剤の種類・pHと消毒効果

2021.07.15

雨水を再利用して雑用水(散水、修景水、清掃)として使用する場合は、塩素剤による滅菌が建築物衛生法で義務付けられているという話を前回させていただきました。それでは塩素系薬剤にはどのような種類があるのでしょう。

塩素剤には表1のようにアルカリ性、中性、酸性の3種類あります。塩素剤のpHがアルカリ性になればなるほど、次亜塩素酸イオンの割合が高くなります。

酸性側の次亜塩素酸とアルカリ性側の次亜塩素酸イオンとでは、殺菌力に大きな相違があり、次亜塩素酸イオンは次亜塩素酸の約1/100程度の殺菌力しかないといわれています。従って、迅速な殺菌を必要な場合にはpHが低い方が好ましいと言えます。

ただし、pHが酸性になれば酸によって配管の腐食を促進してしまうおそれもあります。その他、塩素剤以外の消毒方法としてオゾン、紫外線、銀イオン等を用いる方法もありますが、塩素剤のような消毒の持続効果は期待できません。

一方、最近は二酸化塩素によるレジオネラ属菌の消毒が行われるようになりました。

二酸化塩素はガス体でその水溶液を安定的に保存できなかったものですが、現在、二酸化塩素自動発生装置が開発され、現場で手動混合し二酸化塩素を発生させる製剤も市販されるようになり、浴場施設の循環系に存在する生物膜内のレジオネラ属菌に対して、高い殺菌力性能が発揮されています。

二酸化塩素はプール水での使用が厚生労働省で認められており、二酸化塩素濃度を直読できる測定器も市販されています。

種類性状有効塩素
次亜塩素酸ナトリウム液体(アルカリ性)5~10%
次亜塩素酸カルシウム さらし粉固体(アルカリ性)30%
次亜塩素酸カルシウム 高度さらし粉固体(中性)70%
塩素化イソシアヌル酸固体(酸性)60~90%
表1 塩素系薬剤の種類
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