レジオネラ属菌の検出状況について

2021.07.15

下の表はレジオネラ症の感染源を厚生省がまとめたものです。感染源の特定がされているのは全体の半数以下ですが、感染源が判明したうちの75%は温泉・公共入浴施設でした。表1 レジオネラ症の感染源(国内)
 ※厚生労働省まとめ(1999年4月~2000年7月)

項目場所件数
感染源の記載あり:69例温泉・公共入浴施設など52例(75%)
24時間風呂7例(10%)
空調・冷却塔など3例(4%)
土・塵埃3例(4%)
スポーツ施設・プールなど2例(3%)
井戸水1例(3%)
浄水場1例(3%)
感染源の記載なし:76例
合計:145例

レジオネラ症が発生、または発生の疑いのある施設は、行政からの指導の基に営業等を中止し、原因が判るまで清掃・消毒等を中止すことになります。原因究明は患者から検出されたレジオネラ属菌と、施設から検出された菌のDNA(デオキシリボ核酸で遺伝子の本体deoxyribonucleic acidの略)鑑定などを行います。

東京都環境保健部がまとめた調査によると、冷却水からのレジオネラ属菌の検出状況は2,000年(平成12年)では208サンプルの内、53.8%検出され、菌数は4~24万CFU/100mLの範囲にあり、菌数にバラツキが見られたとの報告がありました。同様に給湯水からのレジオネラ属菌の検出状況は1,996年(平成7年)~2,000年(平成12年)の5年間、サンプル数449件のうち、検出率は平均11.6%でした。冷却水では5年間の平均検出率は37.0%でしたので、給湯水の3倍以上もあります。

この理由として、レジオネラ属菌が高温度では死滅することがあげられます。レジオネラ属菌は水温が55℃以上では生育できないといわれています。ただし、この55℃と言うのは、実験での結果であり、実際の現場では、貯湯槽の清掃後、70℃で20時間循環させてレジオネラ属菌を除去できたという例もあるそうです。

その他、噴水・滝等の修景水や雑用水からも検出されています。したがって、水があるところには、多かれ少なかれレジオネラ属菌が生息している可能性があるという認識が必要です。

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