外食業及び飲食料品製造業における外国人材の確保について

2021年3月19日
一般財団法人東京顕微鏡院
顧問 竹澤 忠文

はじめに

2019年4月に出入国管理及び難民認定法が施行され、同時に一定の専門性・技能を持った即戦力となる外国人材の就労を認める「特定技能」の在留資格にかかわる外国人材特定技能制度が始まりました。「特定技能」の取得には「特定技能評価試験」の合格が必須です。この制度は人手不足が深刻な介護、ビルクリーニングといった14の特定産業分野が対象となっており、食品産業界では外食業と飲食料品製造業が対象となっています。
これまで総菜製造業の技能評価試験を実施していた(一社)日本総菜協会に代わり、試験の客観性・透明性を高めるため、2019年1月に設立されたのが(一社)外国人食品産業技能評価機構(以下「OTAFF」)です。OTAFFが軌道に乗るまでの間、お手伝いをさせていただいた際の概要をご紹介します。

OTAFFは2018年度(2019年2月)に農水省の補助金を得て、同省の所管事業である外食業の外国人材特定技能試験の実施からスタートし、2019年1月に新法人となりました。
2018年度は試験準備のため、説明会の開催・試験会場予定地の調査しかできませんでしたが、2019年度は4月に東京と大阪で外食業の外国人材特定技能試験を開催しました。

2019年度 外食業特定技能1号技能測定試験

第1回の試験(外食業)では受入定数が申込初日で満員となり、国の指導で受入定数の増員(約1,000名まで)と次回からの受入定数の拡大を決めました。最終的な申込者は東京・大阪で631名でした。4/25(木)と4/26(金)に開催され、受験者数は460名、合格率は75.4%(347名)となりました。

第1回 国内試験合格者数

場所受験者数合格者数合格率(%)
東京会場28020874.3
大阪会場18013977.2
46034775.4

第2回試験(外食業)は、7都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡)で実施され、試験受入定数は2,000名規模でしたが、東京会場は受付初日に定数に達し、需要の大きさを感じました。札幌を除く全会場でも定数に達しました。開催日は6/24(月)、 6/27(木)、6/28(金)の3日間、受験者数は1,364名で合格率は72.1%(984名)でした。

第2回 国内試験合格者数

場所受験者数合格者数合格率(%)
札幌会場403997.5
仙台会場896977.5
東京会場63045171.6
名古屋会場21814164.7
大阪会場20216581.7
岡山会場593661.0
福岡会場1268365.9
1,36498472.1

第3回試験(外食業)を9/6(金) に金沢、高松、那覇で開催し、受験者数は370名、合格率は58.1%(215名)でした。

第3回 国内試験合格者数

場所受験者数合格者数合格率(%)
金沢会場1378864.2
高松会場976061.9
那覇会場1366749.3
37021558.1

第4回試験(外食業)は、7都市(長岡、さいたま、東京、名古屋、神戸、広島、熊本)で開催され、受験者数は2,264名、合格率は55.0%(1246名)でした。

第4回 国内試験合格者数

場所受験者数合格者数合格率(%)
長岡会場875158.6
さいたま会場27213951.1
東京会場1,18070459.7
名古屋会場26310941.4
神戸会場24512350.2
広島会場1005656.0
熊本会場1176454.7
2,2641,24655.0

第5回試験(外食業)は、8都市(札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡)で開催され、受験者数は3,288名、合格率は55.7%(1831名)でした。

第5回 国内試験合格者数

場所受験者数合格者数合格率(%)
札幌会場312271.0
仙台会場513262.7
東京会場1,8021,07259.5
横浜会場39619248.5
名古屋会場31113543.4
大阪会場49626052.4
広島会場935357.0
福岡会場1086560.2
3,2881,83155.7

2019年度 飲食料品製造業 特定技能1号技能測定試験

10月からは農水省の所管事業である飲食料品製造業も外国人材特定技能試験を開始し、全国8都市で開催(飲食業の第1回受験者数は626名、合格率は69.2%(433名)でした。

第1回 国内試験合格者数

場所受験者数合格者数合格率(%)
札幌会場2121100.0
金沢会場511937.3
仙台会場291965.5
東京会場(大手町、有明)31122070.7
浜松会場492857.1
大阪会場1269676.2
高松会場9888.9
鹿児島会場302273.3
62643369.2

2月には、全国6都市で開催(飲食業の第2回の受験者数は928名、合格率は53.0%(492名)でした。

第2回 国内試験合格者数

場所受験者数合格者数合格率(%)
福島会場211152.4
東京会場47425954.6
名古屋会場2158338.6
大阪会場1207965.8
広島会場301860.0
福岡会場684261.8
92849253.0

2019年度は、新法人となって初めて実施する特定技能試験であり、これまでの(一社)日本総菜協会による総菜製造業の技能評価試験を参考に実施しました。

2019年度 まとめ

以上のとおり、2019年度は外食業5回、飲食業2回の試験を開催し、国(地域)別合格者数等は以下のとおりです。

2019年度 外食業の特定技能1号技能測定試験 国内試験実施状況

回数 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格者数の国籍・地域別内訳
第1回 459 346 75.4 ベトナム2,390人、中国580人、ネパール443人、韓国259人、台湾239人、ミャンマー209人、スリランカ85人、インドネシア72人、モンゴル70人、フィリピン55人、タイ45人、香港27人、バングラデシュ26人、ウズベキスタン18人、マレーシア14人、フランス10人、ロシア10人など
第2回 1,364 984 72.1
第3回 370 215 58.1
第4回 2,264 1,246 55.0
第5回 3,288 1,831 55.7
7,745 4,622 59.7

2019年度 飲食料品製造業の特定技能1号技能測定試験 国内試験実施状況

回数 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格者数の国籍・地域別内訳
第1回 626 433 69.2 ベトナム403人、中国13人、ネパール103人、台湾92人、韓国74人、インドネシア25人、モンゴル23人、ミャンマー16人、フィリピン13人など
第2回 928 4
92
53.0
1,554 925 59.5

2020年度 外食業特定技能1号技能測定試験

2020年度も前年度の経験を活かして試験申込方法を変更するなど、改善を試みながら外食業及び飲食料品製造業を同一時期・同一場所で実施予定でしたが、コロナ禍により4月7日に緊急事態宣言が出され、6月予定の第1回特定技能試験(外食業・飲食料品製造業)を延期しました。ソーシャルディタンスを確保するため定員を半分に設定し9/7(月)~9/11(金)に全国6都市(仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡)にて開催しました。受験者数は2,508名、合格率は58.5%(1,466名)でした。

2020年度 外食業特定技能1号技能測定試験 第1回国内試験合格者数

場所 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格者数の国籍・地域別内訳
仙台会場 70 41 58.6 ベトナム564 人、中国73人、 ミャンマー67人、ネパール62人、 台湾 40人、韓国39人、インドネシア13人、 バングラデシュ10人など
東京会場 628 341 54.3
横浜会場 142 64 45.1
名古屋会場 323 141 43.7
大阪会場 346 228 65.9
福岡会場 176 97 55.1
1,685 912 54.1

2020年度 飲食料品製造業 特定技能1号技能測定試験 第1回国内試験合格者数

場所 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格者数の国籍・地域別内訳
仙台会場 44 28 63.6 ベトナム378人、 ネパール54人、 中国30人、台湾23人、 ミャンマー17 人、 インドネシア13人など
東京会場 266 154 57.9
横浜会場 47 33 70.2
名古屋会場 198 133 67.2
大阪会場 200 160 80.0
福岡会場 68 46 67.6
823 554 67.3

第2回特定技能試験(外食業・飲食料品製造業)は、11/12(木)~11/21(土)に全国7都市(札幌、さいたま、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡)にて開催し、受験者数は7,171名、合格率は53.2%(3816名)でした。

2020年度 外食業特定技能1号技能測定試験 第2回国内試験合格者数

場所 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格者数の国籍・地域別内訳
札幌会場 31 25 80.6 ベトナム 1,301人、中国183人、ネパール160人、ミャンマー112人、台湾74人、韓国34人、インドネシア25人、スリランカ21人、バングラデシュ11人など
さいたま会場 342 167 48.8
東京会場 2,161 1,024 47.4
横浜会場 136 66 48.5
名古屋会場 582 233 40.0
大阪会場 407 234 57.5
福岡会場 552 230 41.7
4,211 1,979 47.0

2020年度 飲食料品製造業 特定技能1号技能測定試験 第2回国内試験合格者数

場所 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格者数の国籍・地域別内訳
札幌会場 34 27 79.4 ベトナム1,358人、ネパール121人、中国106人、ミャンマー88人、インドネシア50人、台湾30人、スリランカ17人、タイ16人、バングラデシュ13人、韓国11人、フィリピン10人など
さいたま会場 219 145 66.2
東京会場 1,330 765 57.5
横浜会場 86 56 65.1
名古屋会場 609 379 62.2
大阪会場 351 253 72.1
福岡会場 331 212 64.0
2,960 1,837 62.1

今後も引きつづき試験を実施していく予定でしたが、2021年1月8日から2月7日までの期間で4都県(首都圏・東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)を対象に再び緊急事態宣言が出されました。1月13日には7府県(京都、大阪、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木)を対象に2月7日まで出され、2月2日には栃木県を除く10都府県に3月7日までの宣言期間延長が決まりました(その後3月5日、首都圏については、3月21日まで延長し、3月18日に3月21日で解除される見通しとなりました)。
なお、試験は1/18(月)~1/27(水)(ただし飲食料品製造業は、1/18(月)~1/26(火))に実施しました。

2020年度 外食業特定技能1号技能測定試験 第3回国内試験合格者数

場所 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格者数の国籍・地域別内訳
札幌会場 32 22 68.8 ベトナム904人、ネパール126人、ミャンマー119人、中国113人、台湾30人、韓国19人、インドネシア12人など
さいたま会場 181 90 49.7
東京会場 1,471 647 44.0
横浜会場 197 78 39.6
名古屋会場 419 152 36.3
大阪会場 309 177 57.3
福岡会場 403 187 46.4
沖縄会場 75 26 34.7
3,087 1,379 44.7

2020年度 飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験 第3回国内試験合格者数

場所 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格者数の国籍・地域別内訳
札幌会場 33 24 72.7 ベトナム1,523人、ネパール108人、ミャンマー97人、中国52人、インドネシア30人、台湾11人など
さいたま会場 232 155 66.8
東京会場 791 547 69.2
横浜会場 151 106 70.2
名古屋会場 422 286 67.8
大阪会場 510 378 74.1
福岡会場 471 337 71.5
沖縄会場 58 28 48.3
2,668 1,861 69.8

国外の試験については、実績のある業者(プロメトリック株式会社)に委託して実施しています。
(詳細は国内・国外試験ともOTAFFのHPをご覧ください。)

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