プール水

各都道府県条例、学校保健安全法に基づくプール水検査項目

学校保健安全法に基づくプール水検査項目(平成23年3月現在)

検査頻度 検査項目
使用期間中に毎月1 回以上(総トリハロメタンは使用期間中、毎年1回以上) pH、濁度、過マンガン酸カリウム消費量、遊離残留塩素濃度、大腸菌、一般細菌、総トリハロメタン

都道府県条例に基づくプール水検査項目(平成23年3月現在)

検査項目
pH、濁度、過マンガン酸カリウム消費量、遊離残留塩素濃度、大腸菌、一般細菌、総トリハロメタン、レジオネラ属菌(*1)など
*1=学校関係のプールには適応なし

※屋内プールについては2ヶ月に1回、二酸化炭素濃度の測定が義務付けられています。

検査項目、頻度は条例によって異なりますので必ず管轄の保健所で確認してください

プールの衛生管理について

1. 水質基準等(平成23年3月現在)

東京都並びに23区(以下、東京都等という)では、プールの衛生管理について条例で水質基準等(表1、2)を設けています。一般営業プール(許可)や学校プール(届出)はその水質基準を遵守しなければなりません。

表1 プール水質基準

水質項目基準値
(1) pH値5.8~8.6
(2) 濁度2度以下
(3) 遊離残留塩素0.4~1.0mg/L
(4) 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)12mg/L以下
(5) 総トリハロメタン0.2mg/L以下
(6) 大腸菌検出されないこと
(7) 一般細菌200CFU/mL以下
(8) レジオネラ属菌検出されないこと

(1)~(7)の項目は毎月1回検査を行います。学校プールについては実施期間中に毎月1回行います。(5)の総トリハロメタンは、学校プールについては遊泳期間中に1回行うことが学校環境衛生基準で定められていますが、一般営業プールについては各自治体の条例によって異なります。(7)の一般細菌は、一般営業プールでは最近の条例改正で新たに基準化されましたが、学校プールでは既に昭和39年から文部省通知で指針として示されていました。

レジオネラ属菌の検査は、一般営業プールで循環式の採暖槽や気泡槽(ジャグジー)を有している施設に適用されます。学校プールにはそのような施設がないので検査の義務はありません。

さらに、屋内プールでは水質検査以外に、室内環境検査が表2のとおり定められています。

表2 屋内プールの照度及び換気基準(平成23年3月現在)

照度及び換気 基準値
許可プール 学校プール
(1) 屋内プール水平面照度 100ルクス以上 200ルクス以上
(2) 室内空気中二酸化炭素濃度 0.15%以下 1.500ppm以下
(3) 室内空気中塩素ガス濃度 なし 0.5ppm以下

一般営業プールは2ヵ月ごとに1回定期的に、学校プールは使用期間中に1回検査を行わなければなりません。

2. 行政及び学校薬剤師の検査

行政(保健所環境衛生監視員)は一般営業プールに対し立入りを行い、水質検査等を規定どおり実施しているか帳簿書類(3年間の保存義務)で検査し、かつ適切に維持管理されていることを確認しています。また、行政自らもプールの採水を行い水質基準等に適合しているかを検査します。基準値に適合しない場合は、改善命令が出されます。

学校プールは、学校薬剤師が文部科学省通知学校環境衛生の基準に基づき、遊泳期間中に複数回、プールの検査を行っています。基準に不適合な場合はその原因を追究し、事後措置を行うように学校に対して指導・助言を行っていますが、東京都等では、行政も学校プールに対して立入検査を行い衛生指導にあたっています。これは他府県では見られない東京都等独自のものです。

3. 疾病・事故発生届

東京都等では、「取締条例」や「取締り」という強い語句を用いて、プールの衛生管理を厳しく規定しています。プール使用停止や措置命令に違反したものは、懲役又は罰金を処される場合があります。例えば、伝染病疾患にかかっている者等を入場させた場合などが該当します。

プールで感染しやすい疾病としては、咽頭結膜熱:プール熱(小学生児童に多い)、流行性角結膜炎:はやり目(全年齢層)、急性出血性結膜炎:アポロ病(全年齢層)、伝染性軟属腫:水イボ(園児・小学校児童に多い)等があり、これらが発生した場合は、直ちに保健所に通知し、その指導に従わなければなりません。学校プールではその他、教育委員会、学校医、学校薬剤師もその対策にあたらなければなりません。その原因追求に最も有効なのがプール日誌です。日誌には担当者、入泳者数、測定時刻、遊離残留塩素、気温、水温、pH 等を1 時間毎に記録し3 年間保存することが定められており、日誌を正確に確実に記録・保管しておくことがとても大切なのです。

当科学センターでは、一般プール、学校プールから数多く水質検査のご依頼をいただき、プールの衛生管理のお手伝いをさせていただいております。

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一般財団法人 東京顕微鏡院 立川研究所 電話 042-525-3176 (代表)

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