企業における食品微生物自主検査と外部技術研修

2018.02.28

2018年2月28日
一般財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
微生物検査部 調査・研究チーム
技術専門科長 和田 真太郎

はじめに

食品関連の事業者の中で、自社で製造した製品や原材料などの食品に対して、安全性や規格基準に対する適合性を確認するために細菌検査を実施しているところが多くあります。また、製造環境や作業従事者を対象とした細菌検査を実施する場合もあります。

このような細菌検査はどのような方法で実施するのが望ましいのでしょうか。

食品微生物の検査法

食品微生物検査では公定法と呼ばれる食品衛生法に記載された検査方法や、国から通知された検査方法が食品微生物検査の標準的な検査法として考えられています。しかしこの公定法は検査対象となる食品が定まっており、また対象となる検査項目も限られています。

一方、食品関連事業者が行う自主検査では様々な食品やふき取り検査の試料が検査の対象となり、公定法で示されていない検査項目の結果を求められることも多く見受けられます。このような自主検査は検査法に決まりがあるわけではなく、自ら検査法を選ぶことができます。そこで検査法の教科書的な存在として食品衛生検査指針微生物編(以下、指針)があります。この指針では公定法を示すとともに、一般的な検査法、そして簡易・迅速検査法についても紹介されています。

外部技術研修

食品関連の事業者の細菌検査室で実施されている検査は、上司または先輩職員から代々受け継がれてきた方法や他の機関の方からの指導された方法など様々です。公定法や指針の検査法をベースに事業者ごとのアレンジが加えられた検査方法で実施されているとは思いますが、「なぜこの操作をやっているのだろう?」などの疑問を抱えたまま検査を実施している方も多くいることと思います。

このような疑問を解消するためには外部機関が実施している食品微生物検査の技術研修を受講されてみてはいかがでしょうか。技術研修では公定法をはじめとした標準的な検査法について基礎的なこと、原理や適切な操作法など、多くのことを学ぶことができます。また、カリキュラムによっては標準的な検査法と簡易・迅速検査法との比較ができるなど自分たちが行っている検査法を見直す機会も得られます。また、疑問に思っていることなどを質問し、普段行っている検査に自信を持つことも重要です。

私共、一般財団法人東京顕微鏡院でも微生物検査に携わっている方々を対象とした各種セミナーや技術研修会を定期的に実施しておりますので、是非ご参加いただけたらと考えています。

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