2021.07.15
財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
環境検査部 技術部長 瀬戸 博
平成22年12月22日、厚生労働省の諮問機関・労働政策審議会は、かねてから検討していた受動喫煙防止に関する職場の安全衛生対策を記した報告書を建議しました。
これは、平成22年2月25日、厚生労働省から各都道府県などに「受動喫煙防止対策について」という通知が出された後の、新しい動きです(トピックス「受動喫煙防止対策とニコチン測定」を参照)。
この報告書の特徴は、飲食店・ホテルなどを含む職場の原則禁煙化を義務付けていることで、政府は労働安全衛生法の改正案に盛り込み、早ければ来年の通常国会に提出する方針とのことです。しかし、対策を実施しなかった事業者に対する罰則規定は当面盛り込まないこととなりました。
これにより、事業所では、建物や事業用の車内では全面禁煙か、一定の条件を満たす喫煙室以外での喫煙を認めない「空間分煙」が義務付けられます。飲食店やホテルなどで、客に喫煙者が多く、
顧客減など営業上の支障が生じる場合には、たばこ煙に含まれる有害物質の空気中濃度を一定以下にするよう、換気などの代替装置が認められました。
平成19年労働者健康状況調査によれば、「全面禁煙」または「喫煙室を設けそれ以外を禁煙」のいずれかの措置を講じている事業所の割合は46%にすぎません。政府の「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)では、2020年までに「受動喫煙のない職場を実現する」とされています。
今回の報告では、飲食店への影響が大きそうです。大阪府が最近行ったアンケート調査で、全面禁煙にしている飲食店は17.6%、分煙など何らかの対策を講じている店が4割を超えた一方、半数近くは「何もしていない」と回答しています。業態別では、全面禁煙の実施率はファストフード店(36.1%)が最も高く、レストラン・食道・すし店など(18.8%)、喫茶店(18.2%)と続き、スナック・バーなどは0%でした(2010.11.30産経ニュース)。
(財)東京顕微鏡院では、受動喫煙防止対策に関するアクションとして、神奈川県の先進的なスモークフリー(受動喫煙防止)への取り組みに賛同し、平成22年1月29日に検査機関としては初めてとなる「受動喫煙防止条例応援団」 (PDF:172KB)に参加いたしました。
具体的な取り組みとしては、空気中のニコチン濃度、臭い成分の濃度、浮遊粉じんなどの測定・分析を行い、分煙効果を定量的に検証するお手伝いをいたします。分煙効果はエビデンスに基づいて判定することが重要ですが、上記のサービスは現在、最も信頼のおける科学的手法として自信を持ってお客様にお勧めできる内容となっています。
トピックス「受動喫煙防止対策とニコチン測定」はこちら